フランス出身でサンフランシスコを拠点に活動する革職人、ビアトリス・アムブラード(Béatrice Amblard)さんは、30年以上の経験を経て、ハンドメイドの革製品の達人となりました。彼女は、フランスの伝統的な手仕事の道具や、中世の時代から伝わる技術を忠実に守っています。エルメスのカスタムレザーグッズをデザインし、サンフランシスコの店舗で14年間勤務した後、パリのサウス・オブ・マーケットの工房で、自身の「エイプリル・イン・パリ」を立ち上げました。そしてビジネスの拡大に伴い、サンフランシスコのクレメント通りに自身のブティックと工房を間もなくオープンしました。
お客様一人一人のために、洗練された一点物の革製品を作ろうと、ビアトリスさんは、構想からデザイン、モックアップ、完成品に至るまで、緻密な作業を行います。すべての作品は、最高品質の素材を使用して、ほとんどが手作業で作られ、完成までにかかる時間と同じくらいの時間をかけて作られます（例：レディースのハンドバッグは通常2～4ヶ月）。彼女の完璧さへのこだわりは、主にフランスの老舗タンナーと仕事をし、最高級のレザーのみを使用し、皮の詳細や裏地い多くの時間を費やしています。彼女の完璧さへの信念は、多くの忠実な顧客と強力な口コミネットワークを得ています。彼女のもう一つのビジネスの源は、彼女のオンラインストアにあります。ビアトリスさんが百貨店を避けているのは、すべての工程が自分の基準に沿って行われ、その品質がブランドを代表するものであることを保証するために、ビジネスを小規模に保ちたいと考えているからです
16歳の時、ベアトリスはパリ商工会議所という名門の貿易学校に入学しました。そこで彼女は革製品を手作りすることに才能と情熱を見出しました。失読症である彼女は、印刷された文字よりも視覚的なものを好むようになりました。彼女は、自分のビジョンが最終的な製品に変わる瞬間に最もやりがいを感じます。
彼女の才能はパリのエルメスに注目され、専門学校を卒業後すぐに皮革職人見習いとして採用されました。そして1987年、彼女はサンフランシスコに新しくオープンしたエルメスのブティックの “アンバサダー “に任命されました。ビアトリスさんは、自身のブランドとブティックを持つアメリカで唯一のエルメスの職人です。
2012年、ビアトリスさんはこの100年の歴史を持つ革作りの伝統を復活させるためにAmblard Leather Atelier（アムブラ―ド皮細工アトリエ）を設立しました。ヨーロッパ、南米、アジア、地元ベイエリアなど世界中から400人以上の生徒が彼女のレッスンを受けています。この学校のカリキュラムでは、カッティング、型紙作成、革のサドルステッチなどの基礎から始まり、4段階のレベルが用意されています。すべての工程を手作業で行うのですが、正確な工程を体が覚え込むまで、勤勉さと反復が要求されます。ビアトリスさんの喜びは、長年にわたり、この伝統的な職人技を学ぶ若者たちの関心の高さを見てきたことです。
伝統的な手仕事の技術に強い信念をもち、一過性の流行を求める人のためではなく、時代を超えて長く使える洗練された革製品をお客様に提供することに35年もの歳月を費やしてきたビアトリスさんは素晴らしいと思います。また、彼女の献身的な指導により、多くの若者がこの伝統的な技術を手で学ぶことができ、この伝統を風化させないようにしてきました。彼女の生きざまは他に類を見ないかけがえのないものであり、多くの人に影響を与えています。
